真レッスル夢想妄想伝

Ｒｏｕｎｄ　０　スカウト！？

あえて言おう、あたしはプロレスラーなんかなるつもりはなかった。
高校で、チアに入って、
趣味のコスプレで注目を浴びて、
歌って踊れる声優さんになることが夢だった。

だから、中学では体操を選んだ、
フィギュアスケートって選択肢もあったけど、
実際にあたしと同世代の人が活躍してたけど、
（あたしのほうが可愛かったけど）
千葉から品川に通うような気は毛頭なかった。

中学最後の関東大会で、
面白い子がいた。
マッチョが好きで、自分もボディビルダーになりたいんだって。
すっごく身体が柔らかくって、きれいな演技をしていた。
（優勝したのはあたしだけど）

宇都宮からきたその娘とはなんか馬があった。
更衣室で話しただけだけど、
お互い感じるものがあったのかも・・・。
今度コミケに行こうねって、メルアド交換してその日は別れた。

本田まつりちゃん・・・。
う～ん、冬コミはプＸキュアかな？


”礼子さん、こんにちわ。
週末のコミケの後って、時間あります？”

大会が終わってしばらくして、
まつりからメールが来てた。
あの後、頻繁にメール交換してる。
あたしは既に部活は引退して、
受験勉強に励んでいたから、
（まあ、全然余裕だったんだけど、親の手前ってやつ）
まつりとのメール交換はちょうどよい息抜きになった。

”最後までいるつもりだから、夕方になっちゃうけど、
その後は特に予定はないよ”
メール送信っと。

”じゃあ、私につきあってくれません”

”遅くならないならかまわないけど、
あなたこそ大丈夫なの？”

”えへへ、勉強の邪魔にならなければ、
礼子さんのところに泊めてもらえればなって”

”全然かまわないわよ、よ～し、週末はパジャマパーティだ”

”礼子さん、それって死語です”

ゲッ、二つしか違わないのに、
はあ、こうやってオバサンになって行くのね。
”長くなりそうだから、電話するね。
まつりの突っ込みは無視して、そのままダイヤルする。

「もしもし、富沢だけど」
２コールでまつりが出る。

「いひひ、礼子さん、お久しぶりです」

「お久、で、どこに行くのよ？」

「両国国技館です、そんなに遠くないですよね」

「うちは船橋だから、総武線で一本だから、
近いっちゃあ、近いわよ」
体操の大会でも何度か行っている。

「チケットが入ったんですよ、ＥＸタッグの決勝戦、
従兄弟のお兄ちゃんがいけなくなって、
東京行くなら変わりに行ってくればって」

「ＥＸタッグ何それ？」

「女子プロレスですよ、女子プロレス、
パンサー理沙子って知りません」

「パパの読んでるスポーツ新聞で見たことがあるけど・・・。」
うちの父親はマリーンズファンである。

「せっかくだから観に行きましょう、
へへへ、実は私も初めてなんです。
本当は礼子さんとこでお泊りしたかっただけ」

「じゃあ、つまんなければ、さっさと帰ってこようね」

「は～い！」

「じゃあ、土曜日の朝・・・、ついでに金曜日から泊まりに来ちゃえば」

「いいんですか、えへへ、お言葉に甘えちゃいます」
これで衣装持ち確保ね。
帰りはさらに荷物は増えるのに、
ごめんね、まつり。

「それじゃあね、お休み」
「お休みなさ～い！」
ガチャン。


土曜日、コミケは相変わらずで、
初めてコスプレしたまつりは照れまくって、
それがまた受けてたりして、
（年下なのに私よりスタイルはいい、っていうかほんとに中学生？）

でも終わるころにそれなりにポーズもとったりして、
結構はまってたみたい。

そして、両国国技館に向かったの。


Ｂａｔｔｌｅ　０
ＥＸタッグリーグ決勝
ブレード上原　パンサー理沙子組
　　　　　　　　ＶＳ
マイティ祐希子　ボンバー来島組

どちらかのタッグを使って試合に勝利せよ。